概 要
Libera Digit 500は、4チャンネルの低ノイズデジタイザーで、最大500 MHzのサンプリング周波数を提供します。この装置は、外部基準信号に同期して動作し、ACおよびDC結合のバージョンが用意されています。DC結合バージョンは250 MHzの帯域幅を持ち、さまざまなセンサーからの信号を時系列処理できます。AC結合バージョンは1 MHzから2 GHzの帯域幅を持ち、ナローバンド信号やデジタルダウンコンバージョンアプリケーションに適しています。データは4 GBのセグメント化されたバッファに保存され、柔軟なデータ取得が可能です。
メリット
・ 高いサンプリング精度: 500 MS/sでの14ビットADCを使用し、精度の高いデータ収集が可能
・ 柔軟な接続オプション: AC結合およびDC結合の両方のバージョンがあり、さまざまなアプリケーションに対応
・ 可変ゲイン: 31 dBの可変ゲインを搭載し、90 dBを超える動的レンジを実現
・ セグメント化されたバッファ: さまざまな取得モードで設定可能なセグメント化バッファにより、効率的なデータ収集が可能
・ 多様な互換性: EPICS、Tango、Python、Matlab、LabVIEWと互換性があり、他のシステムとの統合が容易
・ 冷却不要: パッシブ冷却設計により、静音運転が実現され、信号処理環境に適用
仕 様
◆ハードウェア仕様
・ チャンネル数: 4チャンネル
・ サンプリング周波数: 最大500 MHz
・ A/D変換: 14ビットADC
・ 入力信号結合:
・ DC結合: 帯域幅250 MHz、さまざまなセンサーからの信号の時系列処理に適している。
・ AC結合: 帯域幅1 MHzから2 GHz、ナローバンド信号やデジタルダウンコンバージョンアプリケーションに対応。
◆動的レンジ
・ 動的レンジ: 90 dB以上
・ 可変ゲイン: 31 dBのプログラム可能な可変ゲイン
◆データ処理
・ バッファサイズ: 4 GBの大容量バッファ
・ 取得モード: セグメント化されたバッファにて、32768サンプル以上のチャンクで取得可能。
・ トリガ入力: 1つのLEMOトリガ入力を使用してデータ取得をトリガ
◆信号処理
・ サンプリング方法: PLL制御による内部または外部の基準信号でサンプリング。
・ データオフセット: FPGA内でADCデータオフセットを除去。
◆インターフェース
・ 電源供給: Power over Ethernet (PoE++)
・ 互換性制御システム: EPICS、Tango、Python、Matlab、LabVIEWに対応。
◆物理的特徴
・ 冷却方式: パッシブ冷却設計
動作環境: 低消費電力で静音運転が可能
これらの仕様により、Libera Digit 500は多様な信号処理やデータ取得が可能で、研究所や産業用途での高精度なデジタイズに貢献します。
ユースケース
1. シンクロトロン施設
用途: シンクロトロンからのビーム信号を高精度でデジタイズし、ビームの特性を詳細に分析
効果: ビームの安定性を向上させ、実験の成果を最大化
2. 高エネルギー物理学実験
用途: 粒子衝突実験でのターンごとのビーム位置測定
効果: 正確なデータに基づいて物理現象を解析し、新しい発見を促進
3. 医療用放射線装置
用途: 放射線治療におけるビームの精密制御
効果: 患者に対する放射線の照射精度を向上させ、治療効果を最大化
4. 材料研究
用途: 材料特性の評価や検査において、ビーム信号をデジタイズ
効果: 材料の応答を詳細に測定し、研究開発を加速
5. センサー信号のデジタイズ
用途: 様々なセンサーからの信号をデジタイズし、リアルタイムでデータ分析
効果: 環境モニタリングや製造プロセスの最適化を実現
6. 教育および研究機関
用途: 学術研究や技術教育のために、デジタル信号処理の実験環境を提供
効果: 学生や研究者が新しい技術を学び、実践的なスキルを習得するのに役立つ
7. 産業用途
用途: 製造ラインやプロセス制御でのビーム信号の測定
効果: 製造プロセスの信号監視や品質管理を強化
これらのユースケースにおいて、Libera Digit 500は高精度なデータ収集と処理を提供し、様々な分野での重要な役割を果たしています。
パフォーマンス
1. 測定精度
高解像度: 14ビットのA/D変換器を使用しており、精密なデータ収集を実現。特に、低ノイズ環境下での信号測定に優れています。
2. サンプリング周波数
高サンプリング率: 最大500 MHzのサンプリング周波数を持ち、迅速なデータ取得が可能です。この高いサンプリング率により、高速信号の解析が可能になります。
3. 動的レンジ
広い動的レンジ: 90 dB以上の動的レンジを持ち、さまざまな信号強度に対応できるため、信号の詳細な分析が可能です。
4. 可変減衰器
プログラム可能な減衰器: 31 dBの可変減衰器を搭載し、入力信号の調整が柔軟に行え、最適な信号範囲を維持します。
5. データ取得モード
多様な取得モード: セグメント化されたバッファによって、32768サンプル以上のチャンクでのデータ取得が可能。多様なトリガーモード(トリガー、オンデマンドなど)でデータを取得できます。
6. 信号処理
時間領域および周波数領域処理: 信号を100-125 MHzのPLL制御でサンプリングし、時間領域処理(TDP)や周波数領域処理(DDC)を行うことで、信号の解析を効率化します。
7. 冷却および消費電力
パッシブ冷却: 騒音が発生せず、強制冷却が不要な設計で、低消費電力を実現しています。
これらのパフォーマンス特性により、Libera Digit 500は高精度な信号測定とデジタルデータ処理を提供し、様々な研究や産業アプリケーションにおいて重要な役割を果たします。
採用事例
Libera Digit 500は、以下の研究所や施設で広く使用されています:
・ CAEP - 中国工程物理研究院(CAEP)、中国
・ CSNS - 中国高エネルギー物理研究所(IHEP)、中国
・ DARESwissFEL - ポール・シェラー研究所(PSI)、スイス
・ Diamond Light Source - イギリスのダイヤモンド光源
・ ELETTRA - シンクロトーネ・トリエステ、イタリア
・ Eli Beamlines - 極端光インフラストラクチャ(ELI)、チェコ共和国
・ ESRF - 欧州シンクロトロン放射線施設(ESRF)、フランス
・ HUST - 華中科技大学、中国
・ J-PARC - 高エネルギー加速器研究機構(KEK)、日本
・ KAERI - 韓国原子力研究所(KAERI)、韓国
・ NICA - 国立核研究所(JINR)、ロシア
・ PLS II - ポハン加速器研究所(PAL)、韓国
・ SSRF - 上海シンクロトロン放射施設(SINAP)、中国
・ Synchrotron Soleil - フランスのシンクロトロンSOLEIL
・ TPS - 台湾の国家シンクロトロン放射線研究センター(NSRRC)
これらの施設では、Libera Digit 500が高精度なデジタイズ機能を提供し、様々な科学研究や実験において重要な役割を果たしています。