概 要
Libera TSU(Trigger Synchronization Unit)は、RFステーション間のトリガー信号を高精度に同期させるために設計されたハードウェアです。LLRF(低レベルRF)システムを使用し、マスター発振器(MO)のリファレンス信号を基に動作します。このユニットの主な特徴は、複数のRFステーション間での信号の同期を確保し、加速器システム全体の精度と効率性を高めることです。
ハードウェア仕様については、特にタイミング制御の柔軟性を提供し、出力信号のタイミングを非常に精密に調整できる点が強調されています。また、Libera TSUは多様な加速器システムに対応しており、プロジェクトの要件に応じたカスタマイズが可能です。
仕 様
Libera TSU(Trigger Synchronization Unit)のハードウェア仕様は、複数のRFステーション間でトリガー信号を正確に同期させるために設計されており、以下の特徴があります。
◆ハードウェア仕様:
・ ラックマウント: 19インチのラックに適合する設計
・ 高さ: 2Uの高さ
・ 入力/出力: 8から最大32のRF入力を1つのRF出力に対応
・ 電源: 内蔵の12V DC電源
・ 冷却機構: 両サイドに設置された2つのホットスワップ可能なファンモジュールによる冷却
・ モジュール構造: 最大8つのAdvanced Mezzanine Cards (AMCs) を統合したバックプレーンに接続
◆インターフェース:
・ フロントパネルのコネクタ: すべてのインターフェースコネクタがフロントに配置され、簡単にアクセス可能
・ データ転送: 高速PCIeバスを使用して、リアルタイムデータ処理と制御アルゴリズムを実現
・ その他のインターフェース: ETH(Ethernet)、USB、RS-232など、様々な外部システムに対応した接続が可能
この設計により、RFシステム間での信号同期とタイミング制御の精度が向上し、特に低レベルRF(LLRF)システムとの統合が容易になります・
ユースケース
Libera TSU(Trigger Synchronization Unit)は、RFシステムや加速器でのタイミング同期を実現するために使用されるユニットで、以下のようなユースケースがあります。
・ 粒子加速器のRFステーション間の同期:
複数のRFステーションを使用する粒子加速器において、Libera TSUはマスター発振器(MO)のリファレンス信号を使用して、各ステーションのトリガー信号を精密に同期させます。これにより、加速器内のビーム操作が安定し、正確なタイミング制御が可能になります。
・ LLRF(低レベルRF)システムの同期制御:
Libera TSUは、LLRFシステムと連携してRFステーションをコントロールし、システム全体のタイミングを統一する役割を果たします。これにより、位相や振幅の安定したRF信号を維持することができ、加速器の効率的な運用を支援します。
・ 高精度なタイミング要求のシステムでの使用:
サブフェムト秒レベルの精度が求められる高精度タイミングシステムにおいて、Libera TSUは追加ジッタを最小限に抑えながら、長期的な位相安定性を保証するために使用されます。例えば、自由電子レーザー(FEL)やその他の科学研究用加速器システムでの同期に役立ちます。
・
カスタマイズ可能なタイミング制御:
モジュール設計により、さまざまなトリガー信号のタイミングや出力仕様を調整でき、特定のシステム要件に合わせた柔軟なカスタマイズが可能です。これにより、各加速器やシステムの個別要件に応じたソリューションを提供します
採用事例
・ CSR, Haerbin – 中国科学院近代物理研究所(IMP-CAS)、中国
・ ELBE – ヘルムホルツ・ドレスデン・ロッセンドルフ研究センター(HZDR)、ドイツ
・ NICA – 核研究合同研究所(JINR)、ロシア
・ SIS 18, FAIR, Super-FRS – ヘルムホルツ重イオン研究センター(GSI)、ドイツ