概 要
Libera Single Pass Eは、直線加速器やシンクロトロンのビーム位置モニタリングに特化したシステムで、バンチ位置を高精度に測定します。シングルバンチモードや連続波(CW)モード、バンチトレインなど、さまざまなビーム構造に対応可能で、外部トリガーによるリアルタイム処理を行います。高性能なアナログ信号処理とデジタル信号処理を組み合わせ、精密なビーム位置データを提供します。
メリット:
・ 高精度測定: µmレベルの位置分解能を実現し、ビームの安定性を向上
・ 多様なビームモードに対応: シングルバンチ、バンチトレイン、CWなどに対応
・ 高速データ処理: FPGAとPCIeインターフェースにより、リアルタイム処理とフィードバック制御が可能
・ 柔軟なインターフェース: Gigabit EthernetやGDXモジュールでの高速データ通信をサポートし、他システムとの容易な統合が可能
これらのメリットにより、Libera Single Pass Eは、加速器での高精度ビーム測定とフィードバック制御に理想的なシステムです
仕 様
Libera Single Pass Eは、加速器でのバンチ位置測定に特化したシステムで、ハードウェアとコネクタ仕様も高精度な処理をサポートするように設計されています。以下に、ハードウェアおよびコネクタの詳細を含めた仕様をまとめます。
◆ハードウェア仕様:
入力チャネル数:
・ 16チャンネル: 各モジュールに4チャネル(Libera Single Pass E 4/4構成)で、最大16入力チャネルをサポート
・ RF入力: 各モジュールで4つのRF信号を処理し、1つの基準チャネルが測定用のリファレンス信号を提供
ADC(アナログ-デジタル変換):
・ 解像度: 16ビットADC
・ サンプリング周波数: 最大130 MHzのクロック周波数で動作し、高速データ取得と正確なビーム位置測定を可能
プロセッサ:
・ Intel ATOM COM Express: 高性能なFPGAとPCIeインターフェースを備え、リアルタイムのデータ処理と低レイテンシの制御アルゴリズムの実行をサポー
メモリ:
・ モジュールごとに十分なメモリ容量が用意されており、リアルタイムデータの保存と処理をサポート。
◆コネクタおよびインターフェース仕様:
RF信号入力:
・ 各モジュールに4つのRF入力を備え、ビーム位置検出器からの信号を処理。基準チャネルを使用して正確な測定
GDXモジュール(オプション):
・ Gigabit Ethernet対応の高速シリアルデータストリーミング用モジュール。データストリーミングのための標準的な解決策を提供し、リアルタイムのフィードバックや制御に使用
EvRXタイミングモジュール:
・ トリガー、インターロック、同期を実現する高速信号インターフェースを備えています。加速器内のさまざまな信号と同期して、正確なビーム制御を可能
PCIeインターフェース:
・ FPGAとPCIeインターフェースを使用し、データ処理の速度と効率を最適化。これにより、低レイテンシでの制御アルゴリズムの実装が可能
その他の特徴:
ビームモード: シングルバンチ、CW(連続波)、バンチトレインなど、さまざまなビームモードに対応しており、外部トリガー信号に基づいたデータ処理
これらの仕様により、Libera Single Pass Eは高精度なバンチ位置測定と高速フィードバックを提供し、加速器の性能を最適化します
ユースケース
Libera Single Pass Eは、加速器におけるバンチ位置測定や高速フィードバックに対応する高精度システムで、以下のようなユースケースがあります。
1. 直線加速器でのバンチ位置測定
シングルバンチやバンチトレインモードでの高速ビーム位置測定が求められるシステムにおいて、バンチ位置を高精度でリアルタイムにモニタリングします。これにより、ビーム軌道の調整や安定化が迅速に行えます。
2. 高速フィードバック制御
高精度な位置測定データを用いて、リアルタイムのフィードバックループを形成し、加速器全体のビーム安定性を向上させます。FPGAとGDXモジュールにより、高速データ通信と低レイテンシの制御が可能です。
3. ビーム安定化
特に、連続波(CW)モードでビームの長期間の安定性が求められる場面で、Libera Single Pass Eは正確なビーム位置データを提供し、加速器のビーム安定性を高めます。
4. 自由電子レーザー(FEL)やシンクロトロン光源の精密制御
FELやシンクロトロンなど、高度な光源施設ではビーム位置のミクロレベルでの制御が重要です。Libera Single Pass Eは、これらの施設でビームの安定化を支援し、実験や運用の精度向上に貢献します。
5. RF信号の精密処理
アナログおよびデジタル信号処理を組み合わせ、RF入力信号を正確に測定することで、ビーム位置と位相をリアルタイムで管理できます。これにより、ビームの挙動をより詳細に把握でき、加速器のパフォーマンスを最大限に引き出します。
これらのユースケースにより、Libera Single Pass Eは加速器施設や先端的な研究施設において、ビームの精密制御とフィードバックシステムの中核的な役割を果たしています
パフォーマンス
◆パフォーマンス
ビームモード | 解像度 | 備考
・ シングルバンチ: µm範囲(データ処理の要件による)
・ 長いバンチ構造: 1 µm未満(デシメーションレートに依存)
・ CW(連続波)運用: 1 µm未満(デシメーションレートに依存)
◆パラメータ
・ 入力チャネル数: 16(Libera Single Pass E 4/4)/4チャネル/モジュール
・ ADC解像度: 16ビット
・ ADCサンプリン
採用事例
Libera Single Pass Eは、以下の国際的な加速器および研究施設で使用されています。
・ BARC – バーバ原子力研究センター、インド
・ CAEP – 中国工程物理研究院、 中国
・ IUAC – インター大学加速器センター、インド
・ STAR – フラスカーティ国立研究所(INFN)、イタリア
・ 清華大学 – 清華大学、中国
これらの施設では、高精度なビーム位置モニタリングやフィードバック制御のために、Libera Single Pass Eが活用されています。