概 要
Libera Photonは、高性能な光子ビーム位置処理装置で、ダイヤモンド検出器、ブレードXBPM、イオン化チェンバーなど、さまざまな検出器と互換性があります。コンパクトで堅牢なデザインを特徴とし、Power over Ethernetに対応しています。ユーザーは、設定可能な信号処理を利用して、リアルタイムでデータをストリーミングでき、精度の高い位置計算が可能です。
◆メリット
・ コストパフォーマンス: 高い性能を持ちながら、コストを抑えた設計
・ 設計のコンパクトさ: 小型で設置が容易
・ メンテナンス不要: 簡単な運用管理で、長期間使用可能
・ 多様なインターフェース: EPICS、TANGO、MATLABなど、多様なプラットフォームと接続可能
・ 高度な信号処理機能: ユーザーが設定できるIIRフィルタリングやデシメーション機能により、データのカスタマイズが容易
仕 様
Libera Photonの仕様説明
1. 入力チャンネル
・ 数: 4チャンネル
・ 機能: 外部BIAS電源を各チャンネルに供給可能
2. 電流測定範囲
・ 変換器: 6つの範囲を持つ電流-電圧変換器
・ 測定範囲: 数pAから2mAまでの電流を測定可能
3. A/D変換
・ サンプリング周波数: 2.5 MHz
・ ビット深度: 18ビットADCを使用し、高精度のデジタル変換を実現
4. 信号処理
・ 機能: ユーザー設定可能な信号条件付け、位置計算
・ フィルタリング: ユーザー設定可能なIIRフィルタリング機能を搭載
・ デシメーション: 高速および低速データストリームに対応したデシメーション機能
5. 測定帯域幅
・ アナログ帯域幅:
・ 10 kHz(nA電流測定時)
・ 90 kHz(μA-mA電流測定時)
6. 測定性能
・ 温度ドリフト: 約0.01 μm/°C
・ 8時間安定性: 23°C、200 μAでの安定性は0.02 μm
RMS不確かさ:
・ 180 μAで10 kHzデータレート時:
・ 180 μAで10 Hzデータレート時:
7. 電源供給
・ Power over Ethernet (PoE): RJ-45ポートを介して電源供給が可能
この仕様は、Libera Photonが高精度で信頼性の高い光子ビーム位置処理を実現するための技術的特長を示しています。
ユースケース
Libera Photonのユースケース
1. 粒子加速器
・ 用途: 粒子ビームの位置をリアルタイムで監視・制御し、ビームの安定性を向上
・ 効果: 正確なビーム位置データにより、加速器の性能を最大化し、実験結果の信頼性を向上
2. 放射光施設
・ 用途: 放射光ビームのプロファイリングおよび監視
・ 効果: ビーム品質を維持し、さまざまな実験の要求に応じて調整することで、研究成果を向上
3. 高エネルギー物理学実験
・ 用途: 高エネルギー物理学の実験でビーム位置を精密に測定
・ 効果: 実験データの精度を向上させ、粒子衝突の解析に役立てる
4. 医療機器
・ 用途: 放射線治療装置におけるビームの位置制御
・ 効果: 患者に対する放射線の正確な照射を実現し、治療効果を最大化
5. 科学研究
・ 用途: 基礎科学研究や応用研究におけるビームの精密測定
・ 効果: ビームを使用した実験において、より詳細なデータを収集し、新しい発見を促進
6. 宇宙研究
・ 用途: 宇宙探査や実験で使用されるビームシステムの測定
・ 効果: 宇宙環境におけるビームの挙動を理解し、将来の探査ミッションに向けたデータを提供
これらのユースケースにおいて、Libera Photonは高精度な位置測定を提供し、さまざまな分野での研究や実験の成果を向上させる重要な役割を果たします。
パフォーマンス
1. 測定精度
温度ドリフト: 約0.01 μm/°Cの低温度ドリフトにより、環境温度変化の影響を最小限に抑え、安定した測定結果を提供します。
RMS不確かさ:
10 kHzデータレートでの180 μA測定時:
10 Hzデータレートでの180 μA測定時:
これにより、信号の変動に対しても高い精度を保ちます。
2. 安定性
8時間安定性: 23°C、200 μA条件下での安定性は0.02 μmを維持し、長時間にわたる測定でも一貫したパフォーマンスを保証します。
3. 帯域幅
アナログ帯域幅: 測定範囲に応じて、10 kHzから90 kHzまで対応。これにより、さまざまなタイプの信号に対して柔軟に対応でき、高速変動信号の測定が可能です。
4. データ処理能力
A/D変換: 2.5 MHz、18ビットADCを使用し、高精度なデジタル変換を実現。信号の詳細な情報を捉え、必要なデータを正確に提供します。
信号処理: ユーザー設定可能なIIRフィルタリングやデシメーション機能により、特定のアプリケーションや要求に応じて信号を調整し、最適なデータを得ることができます。
5. リアルタイムデータストリーミング
インターフェース: RJ-45ポートを使用した高速データストリーミングにより、リアルタイムでのデータ取得が可能。これにより、データの即時分析やフィードバックが可能になります。
これらのパフォーマンス特性により、Libera Photonは高度な測定と信号処理を提供し、さまざまな科学技術分野において信頼性の高いソリューションとなります。
Measurement performance:
測定性能
1. 信号測定範囲
・ 対応信号: Libera Photonは、高速変動信号と低速変動信号の両方に対応可能です。
・ アナログ帯域幅: 測定範囲に応じて、アナログ帯域幅は次のように変化します。
・ nA電流: 最大10 kHz
・ μA-mA電流: 最大90 kHz
2. RMS不確かさ
位置データの不確かさ:
・ 180 μA、10 kHzデータレートでのRMS不確かさ:
・ 180 μA、10 HzデータレートでのRMS不確かさ:
3. 温度ドリフト
温度変化の影響: 通常の温度ドリフトは約10 nm/°Cです。
測定値:
・ 典型的な温度ドリフト: 0.01 μm/°C
・ 8時間安定性: 23°C、200 μA条件下での安定性は0.02 μm
これらの測定性能により、Libera Photonは様々な条件下で高い精度と安定性を提供し、研究や産業用途での信頼性を確保します。
採用事例
Libera Photonは、以下の研究所や施設で広く使用されています:
・ ALBA - スペインのシンクロトロン光研究所(CELLS)
・ ANKA - ドイツのカールスルーエ工科大学(KIT-FZK)
・ APS - アメリカのアルゴンヌ国立研究所(ANL)
・ Australian Synchrotron - オーストラリアのシンクロトロン
・ BEPC II, HEPS - 中国高エネルギー研究所(IHEP)
・ BESSY II - ドイツのヘルムホルツセンター・ベルリン
・ CHESS - アメリカのコーネル大学
・ CIAE - 中国原子力研究院(CIAE)
・ CLS - カナダ光源(CLS)
・ CSR - 中国科学院現代物理研究所(IMP-CAS)
・ Diamond Light Source - イギリスのダイヤモンド光源
・ HiSOR - 日本の広島シンクロトロン放射線センター
・ KEK PF - 高エネルギー加速器研究機構(KEK)、日本
・ LS-CAT - アメリカのノースウェスタン大学
・ MAX IV - スウェーデンのルンド大学
・ PLS II, HLS/HLS II, NSLS II - 韓国のポハン加速器研究所(PAL)
・ SER-CAT - アメリカのジョージア大学(UGA)
・ SLS - スイスのパウル・シェerrer研究所(PSI)
・ SOLARIS - ポーランドのヤギェウォ大学クラクフ
・ SSRF - 中国の上海シンクロトロン放射施設(SINAP)
・ Synchrotron Soleil - フランスのシンクロトロンSOLEIL
・ TLS, TPS - 台湾の国家シンクロトロン放射線研究センター(NSRRC)
これらの施設では、Libera Photonが高精度な位置測定と信号処理を提供し、様々な科学研究や実験において重要な役割を果たしています。